「ユキ、話ってなに?」

「二人になりたかっただけ」

照れ隠しなのか、ボソボソと答える。

「てか寒いね」

「……うん」

「抱っこ、する?」

ユキはそう言って……目を細めて微笑んだ。

急に笑顔なんて反則だ。

心臓が、夜空まで跳ね上がった。

……ダメだ。

いい加減話そう。手遅れになる前に。

「あのね。ユキ」

「ん?」

「……やっぱりわたし、ユキとは」

「やだ、ムリ」

まっすぐな黒い瞳に射抜かれて、もう身動きが取れなくなった。

息が詰まる。胸が痛くて、苦しくて、逃げたい。

「ムリだよ」

やけに色っぽい声でユキが囁く。

暗がりの中で、ゆっくりと近づく、彼の顔。

「だってもう、捕まえるし」

……拒めなかった。

唇を塞がれた瞬間、全身の細胞が「好き」って叫んだ気がした。