ライブは今日も成功。まあ、本番は明日だ。でも声もよく出るし、明日の外ステは何も問題なさそう。……啓吾が見に来ること以外は。

「おし! じゃあカンパーイ」

お昼過ぎ、ユキと多田さんと佑介は、模擬店で買い込んだ食べ物をアテに酒盛りを始めた。どうやら朝は、コンビニにアルコールを調達しに行っていたらしい。

これも大学祭の醍醐味。でもわたしとシゲちゃんは、午後から油そばの屋台で売り子だから参加できない。不公平だ。

早くユキに婚約の話をしなきゃなのに、二人で話す暇もない。本当は話したくないから、先延ばしにするいい口実にはなっている。けれど、明日には啓吾が来るのだ、そうも言ってられない。

二時間ほど屋台で笑顔を振りまいてから、いよいよユキに話そうと、わたしは三人がいる控え室に向かった。