「私の名前を、みんなの前で言ったりしてないよね?」

「さー?どうだろうな。教室に戻ってみれば。」

「そ、そうだね。うん。仁奈と橘も心配してるだろうし、戻るね。」

「あっ、おい。その前に、お前橘って学園長の息子だよな。その、そいつとどうゆう関係なんだ?」

「なに、気になる?」


私は挑発するように、ニヤッと笑って聞き返す。
でも、白石祐陽は全然動じない。


「これは、命令だからな!教えろ!どうゆう関係だ。」

「はいはい。ただの友達よ。いや、とゆうより私の中ではあの二人とは親友になりたいぐらいだわ。」

「そうか。それならいいんだ。さ、戻るぞ。」


そう言って何故か手首を掴まれる。
いやいやいや!おかしいおかしい!


「なんで、私の手首掴んでるの!?一緒に戻るわけないでしょ!?」

「少しくらい…「だめ!!」」


白石祐陽が何かいうより先に、私は断った。
だって、見られたらもっと悪い状況になってしまうし…それになにより、教室がどんな状況かわからないからだ。


「私が先に戻るから、白石祐陽は五分後くらいに戻ってよね。」

「なぁ、そのフルネーム呼びやめろよ。祐陽って呼べ。」

「あーもう、わかった。」

「じゃあ、早速だ。練習だ。名前で呼んでみろ。」

「白石さん。いや、白石がぴったりね。それじゃ、バイバイ!」

「あ、おい!」


呼びかけられても、私は振り返らず教室に戻る。
誰が名前で呼ぶもんか…!!