「そうなんだ…」

「はい。卒業式が終わったあと言われました。『ごめんね。私、他の学校に行くの。』って。泣きながらですよ。ずるいですよね。」


吉田さんは、泣きながら話す。
思い出すだけでも辛いことなのはよくわかった。


「私は、あの子のためにわざと答えを書かなかったり、間違えたりしたのに、そのテストの前に何も言わなかったんですよ…」

「きっと、言わなかった理由があるんだと思うよ。」

「その理由が知りたかった。でも、教えてくれないまま、連絡もとれなくなったんですよ!」


そう言って彼女は静かに泣き続けた。
きっと今まで我慢していたのだろう。誰にも言えずに。


私はその、泣いて怒ってる吉田さんの側にいてあげることしかできなかった。
だって、わからないから何も言えない。


吉田さんが泣きやんだのは、15分くらい経ったくらいだった。


「ごめんなさい。付き合わせてしまって…。そして、ありがとう。」

「ううん。いつかまた、その子に会えるといいね。」

「そうだね…。海堂さん、白石くんと仲良くね。私と私の親友みたいにならないようにね。」

「大丈夫。私と白石祐陽は、ライバルなようなものだから。」

「なにそれ…ふふ。面白いね。」

「吉田さん…いや、ひよりちゃん、私のことは名前で呼んで。」

「奈々ちゃん…なんだか、親友のあの子以来だよ。名前で呼び合うの。ほんとに、ありがとう。」


私達は、その後一緒に駅まで向かい、そして、駅のホームで別れた。


さあ、テスト頑張るぞ!
家に帰ったら勉強だ!