あれからは、図書室に行くことはなく、橘の家で仁奈と勉強したり、休日に図書館で一人勉強したりして過ごした。


場所なんてどこでもいいよね。勉強さえ出来ればいいんだから。


そして、今日は自分の家で勉強をしていた。
外はあいにくの土砂降りの雨で、気分は最悪だった。


「なーなー」


下から母の呼ぶ声がする。
私は何事かと思い、のんびり階段を降りて母のもとに向かった。


「奈々、おつかいお願いできる?勉強の息抜きみたいなものよ!ね!」

「えー。なんでこんな雨の日に?」

「雨の日だからよ〜!おねがいっ!お母さん、他にもやることあるのよ。仕事とか沢山あって忙しいの!」


半ば強引に押されて私はしぶしぶ、おつかいにでかけた。
ゆっくり、スーパーに向かっているとこっちに向かってくる人がいる。


私と同じでおつかいかな?
それとも、何か用事か…こんな雨の日に大変ですね…


心の中で呟きながら、その近付いてくる人の顔が徐々に徐々に見えてくると、私は驚いた。


「あっ。」

「ん…?って、あ!お前。」

「奈々です。白石祐陽、成績1位のくせに人の名前も覚えられないのか!」


わざと先生口調でふざけてみるが、まあ、白石祐陽が笑うわけもなく思い切り滑る。
まるで雨のせいでスリップしたみたい。