放課後になり、今日も図書室で勉強しようかと考えていると委員長の吉田さんが話しかけてくる。
「海堂さん、あの、橘くん知らないかな?今日委員会の集まりがあるんだけど、伝え忘れてて…」
「え、ごめん。橘の居所知らないんだ。仁奈に聞いたらわかるんじゃないかな。いまお手洗い行ってるよ。」
「そっか。わかった。それじゃ待ってる間、他の話してもいいかな?」
「うん、もちろん!」
業務連絡以外で、委員長と会話するのは初めてで、少しだけどんな内容なのかと緊張する。
「えっと、昨日ね海堂さん図書室に居たでしょ。」
「うん。勉強してたよ。」
「それでね、その…見ちゃったんだよね。白石くんとのこと。」
「あ、え?」
私はあの場に委員長居たっけ?と思い出そうとした。
けれど、思い出すのは同じ机を使っていた男子だけだ。
「それは…「おまたせ!!」
誤魔化そうとしていたら、仁奈が元気よく帰ってくる。
廊下に聞こえるほど大きな声だった。
「あれ、吉田さんと奈々?珍しい組み合わせだね!」
「あ、あの、橘くんの居所知りませんかって話してたんです。」
「あ、そうなんだ!それならね、4組の教室にいたよ!」
「ありがとう。亀岡さん。それじゃ、また明日。」
「うん!またね!」
「あ、吉田さん!?」
私が慌てて話の続きを言おうとしたが、吉田さんは教室を出ていった。

