「予想通りって…でも、さっき『やっぱり優しかった?』って聞いてきたじゃん。」
「それは、建前ってゆうか、そんな言えないよ。上から目線の嫌なやつだった?とか。」
「たしかに、そうだろうけど…でもでも、憧れとゆうかかっこいいって思ってたんでしょ。入学式のときすごいはしゃいでたし。」
なんだか、私が逆に驚かされてフォローをしてしまっていた。
仁奈は頷きつつも言った。
「確かに憧れではあるよ。でも、性格だけは悪そうだなって思ってたからさ。」
「そうだったんだ。よくわかんないけど、悪く言っても大丈夫だったわけね。」
実は、昨日の夜も色々と考えていたのだ。
白石祐陽の性格を知ったら、仁奈は凹むのではないかと。
だから、わざと良い人だったと言ったらいいのかなとか思っていた。
でも、いざ言おうとすると"嫌な奴"って言葉しかでない。
だから、さっきも仁奈が固まったのを見て謝ったのだ。
「なんだか、俺にはよくわからんが仁奈は凹んでないんだな!」
「もちろん。勉強もできて、顔もイケメンで、性格もよかったら、持ちすぎだよって思っちゃうよ。」
「それは言えてる。橘はその点バランスいいよね。顔良く、頭普通、性格人並み。」
「なにそれ、貶されてる?」
私と仁奈は、その橘の一言を聞き笑った。
頭の隅にすら置けないほど、私は白石祐陽を忘れようとした。

