「起立、礼、着席」
やる気のない声が教室に響く。毎日同じように過ごして意味の無い日々が去る。必要ない。何も、全く。
「俺わかんねー」
おちゃらけた声が馬鹿馬鹿しい。なぜこの声でみんなが笑うのか。私には分からなかった。そんな自分自身も嫌いだ。
「灯、いっしょにかえろ」
唯一の友人とも言える雪菜は、私には勿体ないほど出来のいい友人だ。
「灯、今日もぼーっとしてたでしょ!」
「ううん、ただ少しだけ考え事。」
「灯は美人さんなんだから、笑った方がいいよ」
雪菜には劣る。
「ありがとう」
そういって、その場をやり過ごした。