「 言ったら、そーすけ離れていく、と思った 」


そんなわけ、あると思う?
そんな泣きそうな顔で言わないで。


あーもう。
ほんと手がかかるなぁ、俺の幼なじみは。


「 俺が詩音のピアノが好きだって言ってたのは 」

「 ……っ 」

「 詩音のことが好きだって言えないガキの俺なりの側にいて欲しいって言うことだったんだけど。 」


俺が一言目を発した時点で大きな目ん玉、目から零れそうになってるのはなんで?


「 し、詩音って…… 」

「 は? 」

「 1回も呼んでくれなかったのに! 」

「 あーー……それはごめん 」


確かに、もう長らく呼んでなかったかもしれない。


「 おいで 」


手を伸ばしてそういうと、詩音は恐る恐るその手に自分の手を伸ばした。


「 遅い 」

その動きがあまりにも動揺に満ちていて、ずっと繋がらない手がもどかしくて。


「 ひゃっ、 」


その手を掴んで、力いっぱい、俺の方に引っ張った。