もう、男は動かない。
と言うと、死んだと思われるだろうか。
いや、まだ生きている。生きている事の方が苦痛なレベルで。
まあ、この世界にいる以上、覚悟はしていただろうが。

〔あー。菜結?今は〕
少女ー菜結は嬉しそうに耳に着いているイヤホンを抑える。聞き逃さないように。
「紫亜様!全員、倒したよ!」
たんぽぽ以上の笑顔を浮かべて、嬉しそうに言う。
〔じゃあ、分かるな?〕
「………………うん」
すぐに笑顔が消えた。彼女には苦痛なことをやれと言われたのだ。さすがに、〈紫亜様〉の命令でも、少し困ってしまう。