カーテンの閉め切られた部屋で、私は気怠げにベッドから体を起こした。


「…あぁ、朝か」


ため息をついて鏡の前に立つと、
映し出された自分の姿にまた嫌気が差す。



生まれつきの茶髪と、前髪で少し隠れて見えにくい自分の目。
髪をよけてみて、すぐに戻した。



「……やめよ、学校行かなきゃ」



制服に着替え、腰の少し上辺りまである髪を一つに結び、前髪はそのままにしてスクールバッグを手に取った。



小さい頃は、みんなから可愛い可愛いと言われて育ってきた。
可愛い洋服を着せてもらって、リボンの髪飾りなんかもして、まるでお姫様のような気分だった。


小学校に入ると、それまでの態度は一変した。
クラスの男子からは"姫なんて似合わない"とバカにされ、女子からは茶髪を妬まれた。



あることないこと噂され、仲の良かった友人も離れ、学校の先生さえも孤立する私を面倒な目で見るようになった。




小学校を卒業し、何も変わらない状況のまま中学校へ進学。
そうそうに不登校になり、学校に行くことを辞めた。
そんな私を見兼ねた親が、高校は離れた場所をすすめくれ、今では不登校からは抜け出せて、友達も数人できた。


それでも、心のどこかで孤独感は拭えずにいた。



もう、諦めていた。一人でいいと思った。
離れていく辛さを経験するくらいなら、このままでいいと。



「行ってきます」
「いってらっしゃーい、気をつけてね」



朝ご飯を食べ終わった私への母の声を背に受けて、足を押し込むようにローファーを2回、地面に叩く。
ブレザーのポケットに突っ込んだ携帯にイヤホンをさし、それを耳につけた。



音楽は流さない。ただ…イヤホンをしていれば、不思議と周りの目線を気にしないですんだ。