やっぱ私に心理戦なんて無理だな...なんて思っていたら、美香が口を開いた。



「何かあるわけないでしょ。置いてかれて仕方なく一緒にいただけよ」


「!....そう、だよね。変なこと言ってごめん」


「ほんと、変なこと聞くのはやめてよね」



そう笑って、美香は大塚たちに追いつこうと少し早歩きになった。




...久しぶりに見たな。


嘘をつくときに髪を耳にかける、美香のくせ。

昔から、変わってないんだ。




ーーーねぇ、美香。

実里先輩と、何があったの?

それって、私にも教えられないこと?



少しやるせない気持ちを抱きながら、一歩前にある美香の背中を見つめた。