「あ!ハタゴイソギンチャクだ!じゃあクマノミもいるかな?」


「多分な...あ、ほらそこ、チョウチョウウオの近くにいるやつ」


「ほんとだ!かわい〜」



鮮やかな橙色のカクレクマノミを指差しながら、俺、大塚玲弥は、隣の皆月一果に目をやった。


水槽を覗き込み、瞳を輝かせて無邪気に笑う横顔に、つい目を奪われる。


いつもと違う髪や、滅多にしないはずのメイク。

正直、落ち着かない。