そんなことを思っている自分に気付き嘲笑する。
悔しくて悲しくて切なくて…。
早足で暗い海の中を抜けて行った。

辿り着いたのは誰もいない水槽でガラスに反射する自分の表情が情けなくてその場に座り込んだ。
館内に流れる音楽がやけに大きく聞こえる。
手に力が入らなくて身体も自分の意思とは裏腹に震えが止まらない。

遠くで人の微かな声が聞こえるが、幸いにも私が迷い込んだのはカーテンのかかった少し目立たない暗い場所だった。
足音が素通りするのを気配で感じる。

誰も私に気づかない。
運命なんてあるのだろうか?
そんなのはごく一部の人達だけだ。

彼の隣で笑う見知らぬ少女の横顔が脳裏によぎる。
想いを伝える勇気もなくアピールすらままなら無かった。
行き場を失ったこの想いはどうすればいいのだろう?
いっそ想いを伝えて清々しくフラれた方がマシだった。
後悔ばかりが心を縛って苦しい。