「あ」

僕らの手が、絶対に触れられない距離まで遠ざかっている。
僕にすらそんなことがわかってしまっているのだ。
じゃあ、梨は、、

「ねえ、詠斗」

彼女は涙を溜めていた。




咄嗟に抱き締めそうになったけれど、僕は何もできなかった。
口下手な自分、そして勇気を出せない自分を恨んだ。

「ごめん、ごめん梨!!!僕のために、、僕が死ぬべきだったんだよ。」

「今さら遅いよ笑」


彼女は冗談ぽく笑って、外に目を向けた。

「私たちが離れるのは、決まってたんだよ。だから」











「梨?りん!!!」

彼女は、息をしていなかった。