4月7日
恋に落ちてから1ヶ月。無事、受験に合格し、飛鷹高校1年生となった。今日は入学式、そして同時にクラス発表の日でもある。

わたし何組だろう...。人だかりの中、必死に掲示板から自分の名前を探す。
あ、あった…4組だ。

4組は、ここか。ここって確か、試験を受けた教室だ。席は...っと、嘘でしょ。まさかの同じ席...。

神崎くんは、何組なのかな?というかそもそも、受験したからって同じ高校に入るとは限らないのか。
さっきの掲示板で探せばよかったな...帰りにもう一度見て行こうか。って、なんかわたしストーカーみたいじゃない?!
でも、この格好だってそうだ。髪を明るくして、ゆるくパーマをかけたし、ピアスだって開けた。制服もクリーム色のカーディガンに、スカートは思いっきり短くした。そして、メガネもコンタクトに変えた。ありがたいことに、飛鷹の校則はかなり緩めのものなのでこのくらいの人はかなりいるのだが...。それでも、黒髪三つ編みの黒縁メガネにひざ下スカートだったわたしからしてみたら、未知の世界だ。実際鏡を見たら誰って感じだったし...。


ガラガラッーーー
ふと、前のドアが開き何となくそっちを見ると、
え?うそ!!神崎くん?!
神崎くんは座席表で席を確認すると、こちらに向かってくる。そしてなんと、わたしの後ろの席に腰をおろした。
こんな奇跡あるの...?まさかあの時と同じ席だなんて。嬉しくて今にも叫び出しそうだ。
「あれぇー、陸も4組ー?あたしと同クラじゃん!ラッキー!」
「おう、茅野と同じクラスとか喧しそうだな。」
「そんなこと言って嬉しいくせにー。ねえ、今日放課後陸んち行ってもいいー?」
「あー悪りぃ。今日は田村とだから、明日ならいいよ。」
「陸ってほんと節操ないよねえー。まあそれが楽だからいいんだけど。」
「だろ?特定の相手なんか作ったって意味ねえもん。俺はこれでいーの。」

え...?神崎くんって、こんな軽い感じなの...?
思わず後ろを振り返ってしまった、その瞬間、神崎くんと目があってしまい慌てて前を向いた。
ううぅー、軽くてもいい。やっぱりカッコいい。わたしどれだけメンクイなんだ。
でもそっか、神崎くん、特定の人は作らない、のか..
いや!その方がわたしにも近づける可能性があるし!


「おい、お前らー。席につけ、出席とって、体育館行くぞー。」
みんな自分の席に着き、先生もそれを見計らって話し始めた。


つ、疲れたー。
なんか一気に疲れた気がする。
わたしも神崎くんと話したい...。ちょっと明るく話しかけた方がいいのかな?うぇーい!みたいな?というか今日、神崎くんのことばっかで、友達のこととか全然考えてなかったな。明日から、がんばろう。