やばい。お昼食べたら、さらにやばい。
いやでも、止めるわけにはいかないし、あと2教科。これ乗り切れば終わりだ、がんばれわたし。
「以上で本日の試験はすべて終了となります。気をつけてお帰りください。」
終わった...けど、立てない。どうしよう。
貧血かな?生理中だし、緊張もしてたしな...
とりあえず、座っ「おい」
不意に声をかけられ、前を見ると、後ろの席のヤンキーがこちらを見ていた。
なになに?!こわい!わたし何かしたっけ?!あ、具合悪くて挙動不審だったかも?!目障りだったとか?!
「え、えっと...なにかこちらに不手際がありましたでしょうか?」
なんだこの返しは!思わずセルフツッコミしたくなるほどにおかしいわ!なにが不手際じゃ!わたしは商社マンかなんかか!
「不手際?別に、そうじゃねーよ。具合悪いんだろ?歩けるか?」
「え、あ、あの...?」
驚いた。人を見た目で判断してはいけないとはこのことだ。
「保健室行くか?それとも、家近いなら帰るか?」
「あ、大丈夫です...。歩けま...
立ち上がった瞬間、目の前が真っ暗になった。
「おい!大丈夫か?!しっかりしろ!」
ここ、どこ...あれ?わたし、あのあとどうしたんだっけ?
「目、覚めたか?」
「あれ、さっきの...」
「神崎だ、神崎陸」
「神崎くん。あ、わたしは月皇結衣です。えっと、ここは...?」
「保健室だよ。月皇が倒れたから、連れてきたんだ。体調はどうだ?」
「そ、そうだったの...。ごめんなさい、迷惑かけて。おかげさまで元気です。ありがとう。」
「別に、元気になったならいい。じゃあな。」
そう言うと、神崎くんは保健室から出て行こうとしたので、とっさに
「あ、ありがとう!」
と柄にもなく少し大きめの声でお礼を言ったら、彼は振り返って優しく微笑んだような気がした。
単純かもしれないが、これがわたしの恋に落ちた瞬間だ。
