香さんは、その場から急いで立ち去った。

私は、どうしたらいいのかわからなかった。

しばらくして、佐竹さんも、台本を持って、その場を離れた。

私には気つかずに。

香さん…ちょっと可哀想。

好きな人に振られる気持ちは…私にもよくわかる。

やっぱりつらいし、他に好きな人がいるってわかったら、余計に苦しいから…

私も、振られた時、本当に苦しんだ。

でも、香さんみたいな素敵な女性でも、振られるんだ…

これって…優越感?

違う…

私、そんなに性格曲がってないよね…

だけど、ひとつ思うことは、香さんが悠介君じゃなくて、佐竹さんを好きで良かったってこと…

香さん、悠介君のこと好きになったりしないよね。

悠介君だって、香さんに、もし好きって言われたら…

私への想い、一変するかも知れない…

だってあの可愛さだよ…

急に、悠介君のことが心配になった。

もちろん、信じてないわけじゃない。

だけど、やっぱり…

私、自分にまだまだ自信持てないから。