『香ちゃん…』

『突然すみません、でも私…佐竹さんとお付き合い出来たらなって』

『ごめん、香ちゃん』

香さんに被せるように、佐竹さんが言った。

『佐竹さん、私のこと嫌いですか?』

泣きそうな香さん。

『僕には好きな人がいるんだ。君を嫌いとか、そういうことじゃないから。本当にごめんね。でも、ありがとう…』

『誰?誰なんですか?好きな人って…まさか、綾音さん?最近よく話してるから』

『…』

佐竹さんは、うつむいて黙っていた。

『本当に綾音さん?嘘…佐竹さんみたいな人があんな人を?』

『どういう意味?あんな人って』

『だって、佐竹さんは大スターなのに、綾音さんみたいな目立たない…』

『そういう言い方はやめた方がいい。君は確かに人気のある女優さんだ。美人だしね。でも…綾音ちゃんは、本当に素敵な女性だよ。それにヘアメイクは立派な職業だ。俳優や女優と何ら変わりはないよ』

香さんの顔が、だんだん怒り顔になっていく…

『わかりました、佐竹さんは綾音さんが好きなんですね。佐竹さんがそんな人だとは思いませんでした。もういいです』