『俺は綾音が好きだ。好きな人とコソコソするの、嫌なんだ。堂々としてたい』

『わかってない。悠介君を大好きな人、ファンからしたら、彼女がいるなんて、すごくショックだよ。それも…王子様みたいな悠介君に、私みたいな女…』

『またそんなこと言ってる。綾音は、可愛い。本気でそう思ってるよ。誰よりも、可愛いから…』

『…私はすごく嬉しいけど、でも、世間はそんな風には思ってくれないよ。超人気俳優とヘアメイク…全然つり合わない。もしも、香さんみたいなお姫様みたいな女性なら…』

なんで、今、香さんの名前が出たんだろう。

悠介君は、ちょっと怒ったように続けた。

『香さんは、今、何の関係もないだろう』

私は、少し黙ってしまった。

演技だとわかってても、ヤキモチやいたこと…思い出した。

『…ごめん。言い方悪かった。だけど、香さんなら良くて、綾音ならダメなんて、絶対そんなことないから。何度も言うけど、俺が好きな人は、他の誰でもない、綾音だから』

悠介君の気持ちが痛いほど嬉しくて、本当は公表して欲しいって…ほんの少しだけ、思ってしまった…