佐竹さんの嘘みたいに色っぽい言葉が、私の周りの時間と、この空間にある空気さえも巻き込んで、全てのものを止めてしまった…

高校生から、ずっと憧れてて、私の心がズタズタになった時も、佐竹さんのお芝居が、私の支えになっていた。

佐竹さんがいたから、頑張ってこれた。

その人に…

誘われた…

しかも、2人きりでって…

昨日のこともちゃんと覚えてたみたいだった。

酔った勢いじゃなかったの?

でも、もう、今の私には悠介君がいる。

目的のわからない誘いだったとしても、2人きりで男性と会うことは出来ない…

それはしたくない。

私の返事を聞かずに佐竹さんは、いってしまった。

悠介君…

私のこと見てたよね。

私の態度がおかしいって気付いたよね…

ごめん…

そうしてるうちに、撮影が始まった。

悠介君が、香さんに出会うシーン。

綺麗な2人…

絵になる…

うっとりするくらいに。