キミのもの

「あのさ、比奈子」


「なに?」


「すげー好き」


「……うん、知ってる」


「俺さ、いつでもどこでも飛んでくから。何があっても、絶対助けてあげるから」


「……うん」


「だからさ、もう俺のものになんない?」


「え?」


目をまんまるくした比奈子が、可愛すぎて。


俺は思わず、半開きになったままの比奈子の唇に、ちゅっと口づけた。


うわ、ちょー柔らけー。


「………は?」


「だから、俺と付き合っ」


「えっ、ちょっっ???い、今、キスしたよね?!」


「したけど」


「まじなんで?!てゆーか普通、勝手にキスする?!あり得ないんだけど!!」


あらら。


比奈子は、顔を真っ赤にして怒り始めてしまった。


ちぇっ、今回はちょっと落とせるかなーって思ったんだけどな。


だって俺、ヒロインのピンチを救ったヒーローじゃん?


「バカなの?!あーもう!ほんっとムカつく!」


あーあ、完全にいつもの比奈子だ。


でもちょっと安心。


すごく怖い思いしたみたいだから、いつもの元気に怒る比奈子に戻って、正直ほっとした。


しおらしいのも好きだけどさ。


キミが元気でいてくれるのが一番いい。


「……ファーストキス……だったのに」


「俺がいなかったら、あのチャラ男に奪われてたかもしんないじゃん」


「そ、それはそうだけど……」


「てか、ごちそうさま☆」


「ごっ、ごちそうさまって………やっぱり蒼真くんなんか、大っ嫌い!」


大っ嫌いとか怒ってるくせに、まだ素直に俺に抱っこされてるってこと、比奈子は気づいてないのかな?


気づいてないとしたら、ほんと頭悪い。


そんな所も、可愛くてたまんない。