キミのもの

「あのね……」


比奈子が、相変わらず上目遣いのまま、口を開いた。


「あの時ね、『蒼真くん助けて』って思ったの。だから……ほんとに助けてくれて嬉しかった。ありがとう」


「……え、まじで?」


俺のこと、心の中で呼んでた?!


嬉しすぎるんですけど!


半年前に、うちの近くにできたコンビニで、8年振りに比奈子と再会した。


通いつめて話しかけまくってたら、もう関わらないでって言われて。


昔のことが、比奈子の大きな傷になってるなんて、思いもしなかった。


普通ならそこで身を引くのに。


どうしても諦めらんなくて、ずっとつきまとってさ。


ぶっちゃけ気持ち悪いだろうし、死ねばいいとか思われてると思ってた。


どう思われてもいいやって、最近じゃ抱きついたり好き勝手やってさ。


なのに、そんな俺のことを、助けてくれる存在だって信じてくれてたってことでしょ?


まじで嬉しい。