一実ちゃんに付き合ってもらって、彼が喜びそうなものを心を込めて探しましょう。胸の内で自分に大きく頷いていたら。

「レイちゃん」

淡く笑みを滲ませた征士君から掌を差し出された。
自然と私のも重ね合わせれば。そのまま引き寄せられて、彼の膝の上に斜めに座らされてしまう。

「あ、あの・・・っ」

後ろから腕を回されたこの体勢と密着度に、さすがに焦って声が上擦る。

「本当はね」

聴こえた、少し切なげな声。

「今すぐにでも欲しいよ。・・・・・・でもまだ、俺に追いついてくれてないから」

征士君が背中に額を寄せて、顔を埋めているのが分かった。

「だから今は・・・レイちゃんがくれるものならぜんぶ、俺の宝物になる。・・・嘘じゃないよ」

優しい響きだった。


どこか胸が詰まって。泣きたくなるような気持ちになった。
彼が望むものを漠然と理解しているのに、応えられない自分が。
・・・歯痒いと思った。