和中洋のどれにするかと散々悩んだ結果、『若い男の子だったらやっぱりイタリアン』というママ独自のマーケティングリサーチによって。
4人掛けのダイニングテーブルの上には、定番のサーモンのカルパッチョや、トマトとモッツァレラチーズのカプレーゼ、同じくトマトを乗せたプルスケッタ。牛すね肉の白ワインソースや枝豆ソースがけのニョッキなんかが彩りよく大皿で並びます。

「すごく美味しいです。お店と変わらないですね。俺の母は和食は得意ですけど、イタリアンは少なかったかな」

征士君のちょっとお世辞も雑じった?素直な賛辞に、ほくほく顔のママ。
娘をアピールする目的はすっかりどこかに飛んでしまったようで、嬉々としてレシピまで披露しています。

「そうそう、ニョッキのソースは美玲に任せましたの。いかがだったかしらぁ?」

取ってつけたような付け足しに、内心で苦笑いが零れます。
征士君とふっと目が合い。気恥ずかしさでいっぱいだった私です。