翌朝。名残惜しそうなママに「次は夏に来ますね」と、とびきりの笑顔を振り撒き、玄関ドアが背中で閉まった瞬間に仮面を剥がすふーちゃん。
すごい早業です。

どうせだからと着替え一式も置いていき、身軽にリュックひとつ。ボーダーTシャツにロールアップしたパンツスタイルは、爽やかな読者モデル風。

「ほら行くよ、ミレイ!」

私の手を引き、バス停へとすたすた歩き出します。
ふーちゃんのコーディネイトで、やっぱりボーダーのカットソーにデニムスカートの私は、髪を軽く揺らして急ぎ足。


後をついてくるように、少し離れた路上から、ゆっくりと発進した白い車には気が付きもしないで。