「レイちゃんも、ずっと可愛いって思ってたけど綺麗になった。俺が思ってた通りかな。また会えて嬉しいよ」

本当に懐かしそうに目を細めて、征士君が笑う。お世辞っていう感じでもなく、とてもナチュラルに。

「あ・・・、はい」

「最初は人見知りなところも、変わってないんだな」

今度はクスリとすると、私の頭をぽんぽんと軽く撫でる。
お祖父さまや従兄弟達以外にされるのは初めてで、妙な気もした。
自分としてはほぼ初対面の心持ちだのに、彼の方はフランクで距離感も詰められてる気がする。
この温度差はなんでしょう? 
頭を捻ってみてもよく分からない。

「取りあえず、出かけようか」


促されるままに、ママの底抜けに明るい声で送り出され。
車の助手席のシートに所在なさ気に収まる。
こういう時って、何を話すんでしたっけ。
緊張してると言うより、困り果ててる、が正解だ。もっと前に分かっていれば、誰かに相談もできたのに。ママの陰謀で、朝起きて知らされたなんて、征士君にだって失礼じゃないですか。内心で抗議。