「似たよーなモンをくれてやってもしょうがねぇし、オマエが欲しがるモンも分かンねーしな」
冷たくも温かくもない、いつものトーン。
佐瀬さんらしい。・・・と思えばいいのでしょうか。
形がなくても、想ってくれる気持ちさえあれば、もちろん嬉しいに決まっています。
もちろん。形もあれば、なおのこと嬉しいですけれど、それはその、私のわがまま・・・ですし。
・・・・・・ほんとうは。
佐瀬さんが私のために何を選んでくれるのかって。期待してしまっていたから。
億劫そうにお店に入って、一番に目についたものをそそくさと、店員さんにラッピングをお願いしていそう、・・・なんて想像まで描いて。
ですから。ほんの少し胸に小さな穴が空いて、寂しいと思うのは自分勝手なんです・・・・・・。
「・・・いえ、あの。気持ちだけで十分です、から」
躰を寄り添わせたままで、声だけ明るく取り繕った。
すると髪を撫でていた掌の温もりがすっと離れ、佐瀬さんは自分の左手首からバングルを外す。そして。
「・・・オマエに預けとく」
今度は私の左手首に、大きめなそれを嵌めた。
「佐瀬さん?」
「昔・・・ただの粋がるクソガキだった頃、深町の親父にもらったモンだ。無茶しそうになったら、コレ見て少しは考えろってな。まぁ・・・気休めにしかなンなかったが、命の次に大事なモンだ。失くすなよ?」
「えっ、でも、そんな大切なもの・・・っ」
思わず躰を離して顔を上げると。
愛おしむような眼差しで私を見つめる貴方がいた。
「オレが生きてるってコトは、それなりに効くんだろーよ。お守り代わりに持っとけ」
「絶対に失くしません・・・! 嬉しいです、今までもらった中で一番の誕生日プレゼントです・・・っ」
「・・・そうかい」
滲んだ淡い笑みがひどく優しくて。
貴方がどれくらい私のことを考えてくれたんだろうと、それを思うだけで泣きそうになる。
千里さんの旦那さまだった組長さんと佐瀬さんの絆はきっと、とても深いもので。
このバングルに込められているものは、私には計り知れないのでしょう。
表面に、黒く市松模様の細工が施されたシルバーのバングル。鈍い光りを放ち年季が入っていても、大事に手入れされてきたのだと感じさせる。
私を信じて。託してくれる。
佐瀬さんはいつも。言葉なんかよりもっと重くて、揺るがないものをくれる。
一生に一度の恋を。貴方に捧げられてよかった。・・・心から。
「愛してます。・・・私が死ぬまでずっと、誕生日を一緒にお祝いしてください」
見つめ返して微笑む。
「先にいなくなったりしないでくださいね。・・・約束です」
冷たくも温かくもない、いつものトーン。
佐瀬さんらしい。・・・と思えばいいのでしょうか。
形がなくても、想ってくれる気持ちさえあれば、もちろん嬉しいに決まっています。
もちろん。形もあれば、なおのこと嬉しいですけれど、それはその、私のわがまま・・・ですし。
・・・・・・ほんとうは。
佐瀬さんが私のために何を選んでくれるのかって。期待してしまっていたから。
億劫そうにお店に入って、一番に目についたものをそそくさと、店員さんにラッピングをお願いしていそう、・・・なんて想像まで描いて。
ですから。ほんの少し胸に小さな穴が空いて、寂しいと思うのは自分勝手なんです・・・・・・。
「・・・いえ、あの。気持ちだけで十分です、から」
躰を寄り添わせたままで、声だけ明るく取り繕った。
すると髪を撫でていた掌の温もりがすっと離れ、佐瀬さんは自分の左手首からバングルを外す。そして。
「・・・オマエに預けとく」
今度は私の左手首に、大きめなそれを嵌めた。
「佐瀬さん?」
「昔・・・ただの粋がるクソガキだった頃、深町の親父にもらったモンだ。無茶しそうになったら、コレ見て少しは考えろってな。まぁ・・・気休めにしかなンなかったが、命の次に大事なモンだ。失くすなよ?」
「えっ、でも、そんな大切なもの・・・っ」
思わず躰を離して顔を上げると。
愛おしむような眼差しで私を見つめる貴方がいた。
「オレが生きてるってコトは、それなりに効くんだろーよ。お守り代わりに持っとけ」
「絶対に失くしません・・・! 嬉しいです、今までもらった中で一番の誕生日プレゼントです・・・っ」
「・・・そうかい」
滲んだ淡い笑みがひどく優しくて。
貴方がどれくらい私のことを考えてくれたんだろうと、それを思うだけで泣きそうになる。
千里さんの旦那さまだった組長さんと佐瀬さんの絆はきっと、とても深いもので。
このバングルに込められているものは、私には計り知れないのでしょう。
表面に、黒く市松模様の細工が施されたシルバーのバングル。鈍い光りを放ち年季が入っていても、大事に手入れされてきたのだと感じさせる。
私を信じて。託してくれる。
佐瀬さんはいつも。言葉なんかよりもっと重くて、揺るがないものをくれる。
一生に一度の恋を。貴方に捧げられてよかった。・・・心から。
「愛してます。・・・私が死ぬまでずっと、誕生日を一緒にお祝いしてください」
見つめ返して微笑む。
「先にいなくなったりしないでくださいね。・・・約束です」



