「今日は、佐瀬とここに泊まっておいで。双葉と有沢君はちゃんと送るし、優美さんにも連絡しておくから心配いらないよ」

思いがけない言葉に佐瀬さんを振り返り。流された横目とぶつかって、顔が赤らむ。

「それから、佐瀬。来週末から美玲はお盆休みだし、軽井沢のヴィラに連れて行ってあげるといい。旅行も悪くないだろう?」

「そりゃ、どーも」

「時間が空いたら僕も顔を出すから。三人で川の字になって寝たくなってしまうね」

「・・・カンベンしろ」

「前はよく、兄さまとふーちゃんと一緒に寝たのを思い出します~」

「オマエねぇ・・・」

ジロリと私を()めつける佐瀬さんがちょっと可愛い・・・なんて言ったら、叱られてしまいそうですけれど。




夕方から生憎の雨。いつしか大きな嵌め殺しの窓には、濡れそぼって黒く滲む夜が映っていました。

大型テレビの画面で、ふーちゃんとヨウ君がカーレースのゲーム対戦をしたり。
ヒサ君達が手がけた花火の動画を見せてもらったり。

お料理をつまみながら、お酒もほどほど楽しんで。

いつの間にか一実ちゃんに酔い潰されたたぁ君と、珍しくほろ酔いのふーちゃんは半分、夢の途中。


『そろそろお開きにしようか』

兄さまのやんわりした声が、“12時”の鐘を鳴らす。