「タバコは止められても、美玲は止められないに決まってる」

・・・ごめんなさい、たぁ君。何言ってるか、ちょっと分からないです。

「それより! 鳴宮の小僧と見合いしたそうじゃないか。お兄ちゃんは許してない!」

今度は勢いよく離れ、肩をがっしり掴まれながら。
私のこととなると途端にクールの仮面が剥がれちゃう、たぁ君。
自分を『お兄ちゃん』て呼び、確か中等部までは私にもそう呼ばせていたほどの溺愛ぶりで。自他共に認める『妹フェチ』です。

「お見合いじゃなくて、お付き合いですよ。お祖父さまが決めたことですし、征士君も悪い人じゃないです」

「良くても悪くても、美玲を嫁になんかやるもんか!」

拳を握りしめて熱弁されても・・・。困りました。

「結婚は、お付き合いしてみてから決めようって思ってるんです。愁兄さまもそれでいいって言ってくれました」

「そうやって美玲は愁ちゃんばっかりで、もっとお兄ちゃんを頼りなさい」

論点まで、ずれてます。