いつもだったら何かしらの連絡をしてくるはずのふーちゃんは、今回に限ってうんともすんとも言ってきません。私から電話をしてみても留守番電話サービスに繋がってそれきりです。

ベッドの中からぼんやり、常夜灯で仄明るい天井を見つめる。

たぁ君があんなに悩ましい顔をしていた理由は、ふーちゃんが征士君と顔を合わせることになるからでしょう。
鳴宮との縁談をすぐに破談にしろと、来る前にお祖父さまを脅したとかなんとか。私のこととなると歯止めが効かなくなるのが、ふーちゃんの困ったところです。

「・・・征士君にも、事情を話しておいたほうがいいかもしれませんねぇ・・・」

ぽつり、独り言。

いくらなんでも、仕事と私情はきちんと切り分けられると信じています。
むやみに飛び出すあの物騒な発言を、少しくらい遠慮してくれるかどうかは、もう神頼みしかありません。

会えるのは本当にすごく楽しみです。・・・同じくらい、胸の中がざわざわします。
ああ神さま。
ふーちゃんが無事に北海道に帰る日まで、何も起きませんように・・・・・・。

そっと祈りながら瞼を閉じました。