待つ間になんだか色々と考えてしまいそうで、気を紛らわせようとバッグのスマートフォンに手を伸ばし。そう言えば帰りが遅くなることもママに伝えなくちゃ。
手にした画面にはラインの通知が2件表示されていて、開くと偶然にもママからでした。

“パパとママは美帆子さんの家にいます。泊めていただくから、美玲も気にしないで明日まで征士君とゆっくりしてらっしゃい”

『してらっしゃい』の後には、ハートを抱えた可愛いネコのスタンプが。

「・・・・・・・・・・・・はいっ?!」

素っ頓狂な声が広い室内に反響してしまって、慌てて自分で自分の口を塞ぐ。

美帆子おばさまは、たぁ君のお母さんです。お父さんの健一おじさまは九州に単身赴任中で留守ですが、たぁ君家族を交えてとても仲良くしています。特にママとおばさまは仲良しで、私のこともたぁ君と同じくらいに可愛がってくれて、・・・それはともかく。

「・・・・・・つまり、えぇと・・・」

次第に画面にぐっと寄って、釘付けになりながら。

「私も、・・・ってことですよね・・・?」

頭の中で懸命に思考回路をフル回転させていると。

「・・・どした?」

「〇△※&$っっ?!!」

頭の上から佐瀬さんの声がいきなり降って、何語かも分からない不格好な悲鳴を上げてしまったのでした。