最初から答えを分かっていたかのように。驚く風でもなく、貴方からただ笑みが消えて。
肩で大きく息を吐くと、佐瀬さんは私の頭に掌を置いた。
「親や保科を捨ててか? やめとけ、一生消えねぇキズになるだけだ」
宥めるというよりは諭されるような静かな声。
「それでもお嬢ちゃんが胸を張れるンなら、今すぐどこにでも連れてってやる」
上から滑り落ちてきた指先が頬をなぞり。貴方と深く目が合う。
「オマエはそういう女じゃねぇハズだろ。・・・筋は通せ」
諫めたのは、誤魔化しの嘘でもなく。私を思って言ってくれたのが確かに伝わってきて。
このまま浚って欲しかった気持ちも本心でしたけど。・・・素直に嬉しかった。
佐瀬さんはもしかしたら、極道と言う道を選んだ時に自分から大事な人たちに背を向けて、後悔があったのかもしれない。
同じ過ちを繰り返させないようわざと、私に『連れて行って』と言わせたのかもしれません。
両親や兄さまにこの想いを打ち明けても、赦してもらえないのは初めから分かっています。
だからといって黙って逃げるような真似はするなと、貴方は私を正した。自分に出来る限りの努力もしないうちに投げ出すな、・・・と。
このひとはヤクザと呼ばれた人で。社会のルールに反して生きてきた人です。その手を犯罪行為に染めたことも、もしかしたら。
でも。心まで闇に染まっているわけじゃないんです。芯が一本真っ直ぐに通っていて、人間としての間違いが何かをちゃんと知っています。
私が好きになったのはそういう人だと。正々堂々、誰にも誇りたい。それが筋を通すという意味なんだと思うんです。
目の前の貴方を見つめて、願いをぎゅっと心に強く秘めた。
肩で大きく息を吐くと、佐瀬さんは私の頭に掌を置いた。
「親や保科を捨ててか? やめとけ、一生消えねぇキズになるだけだ」
宥めるというよりは諭されるような静かな声。
「それでもお嬢ちゃんが胸を張れるンなら、今すぐどこにでも連れてってやる」
上から滑り落ちてきた指先が頬をなぞり。貴方と深く目が合う。
「オマエはそういう女じゃねぇハズだろ。・・・筋は通せ」
諫めたのは、誤魔化しの嘘でもなく。私を思って言ってくれたのが確かに伝わってきて。
このまま浚って欲しかった気持ちも本心でしたけど。・・・素直に嬉しかった。
佐瀬さんはもしかしたら、極道と言う道を選んだ時に自分から大事な人たちに背を向けて、後悔があったのかもしれない。
同じ過ちを繰り返させないようわざと、私に『連れて行って』と言わせたのかもしれません。
両親や兄さまにこの想いを打ち明けても、赦してもらえないのは初めから分かっています。
だからといって黙って逃げるような真似はするなと、貴方は私を正した。自分に出来る限りの努力もしないうちに投げ出すな、・・・と。
このひとはヤクザと呼ばれた人で。社会のルールに反して生きてきた人です。その手を犯罪行為に染めたことも、もしかしたら。
でも。心まで闇に染まっているわけじゃないんです。芯が一本真っ直ぐに通っていて、人間としての間違いが何かをちゃんと知っています。
私が好きになったのはそういう人だと。正々堂々、誰にも誇りたい。それが筋を通すという意味なんだと思うんです。
目の前の貴方を見つめて、願いをぎゅっと心に強く秘めた。



