途中、電車の乗り換えが2回。乗っているあいだ離れていた佐瀬さんの手は移動のたび、癖のように私の肩に乗せられていました。

大きくて、・・・守ってもらえてるってすごく安心できる手。
ブラウス越しに伝わってくる掌の熱が、その時だけは彼との距離をゼロに感じさせてくれるのが。とても切なかった。・・・ずっとそうしていて欲しくて。

きっと。こういう気持ちを片思いって。・・・初めて知りました。
恋愛漫画やドラマなんかよりもっと。それこそ心臓が破れそうだったり、圧し潰されそうだったり。思うだけで、こんなに泣きたくなるものだっていうことも。

もっと自分を見て欲しいと欲張りになって。
貴方を知りたいのに臆病になる。
これが私の、本物の恋。



征士君も。そうだったんでしょうか。
自分を持て余すくらいに私を想って、好きだと告白してくれたのなら。

私は。
・・・・・・私は。


ショップバッグを片手に吊革に揺られながら。躰が傾ぐごとに肩が触れ合う佐瀬さんの隣りで。別の棘が刺さったような鈍い痛みを、胸の奥に感じていました・・・・・・。