「許婚クンの誕生日を祝ってあげようって気持ちに、水を差すつもりはないけどサ」  

彼(彼女)はテーブルの向こうから、不意に男の子口調で視線を傾げる。

「自分を好きって言ってくれる相手に、悪い気はしないじゃん? けど、それに引きずられて流されんのはダメ。美玲は真面目だから、本気でスキでもないのに、ちゃんと応えようとしちゃうでショ。相手はその分、期待しちゃうんだからね?」

分かったー?
最後はわざとお姉さんぶった、したり顔で。


一実ちゃんが私に何を伝えたかったか。じんわりと染みてきていた。
征士君に対する申し訳なさを取り繕うための善意は、・・・悪意と同じ。
自己満足で彼を傷付けるだけ。

少し、気持ちが先走っていたような気もします。
心は彼に向かいつつあるのかも知れないけれど、まだ。踏み出したばかり。

正直な想いを贈りましょう。
ありのままに。
私にできる精一杯で。