あたしは、笑いを堪えきれずうっすら目に涙をためている優雅を横目に、無造作に転がっていたペンを再び手に取る。



「もう…ほら、早くっ勉強するよ!!」

「はいはい…で、これ何て読むんっすか?」

「どれどれ?」



そう言いながら、優雅が呼び指す先の難しい漢字に目をやる。





あたしの通う高校では、今週からテスト期間に突入している。

そのため、最近は昼休みにこうして一緒に勉強するのが、何故か日課になっていた。



「………くろうと?」

「なんで語尾にハテナがついてるわけ?」

「…だって…確定じゃないから…」

「俺より年下だっけ?それとも……年上だっけ?」

「ッ!!年上ですっ!!」

「あはは…んなムキになんなくたって…」

「~っ!!」


いっつもこうだ。あたしの方が年上で先輩なのに…

…いっつもからかわれる。


「だって先輩、反応が面白いからつい…」

「っ!?」

「葉月先輩の考えること、分かりやすすぎっすよ?」



優雅はそう言ってイタズラっぽく笑ってみせると、再び問題集に意識をもどした。