「オネェの髭Ⅰ」
あたいエバ、この世界では片乳(カタチチ)のエバちゃんで有名なの。 なんで片乳かって? あたいが夜の商売で働きかけの頃、大きな胸に憧れてたのね、それで思い切って豊胸の手術することにしたのよ。 でも、胸を工事する予算が足らなかったのね、だから医者に頼んでとりあえず片側の胸だけ手術したの。 あたいおバカでしょ! でもそれぐらい豊胸にあこがれていたのよね、当然、もう片方もすぐに豊胸する予定だったのよ。
今考えると馬鹿よねぇ笑っちゃうわよね。でもその時は真剣だったのよ。
すぐに胸を膨らませたかったの、で、とりあえず予算の都合で片乳だけ。 そしたら、片乳のエバっていうあだ名がついちゃったのね。 それ以降ずっと片乳のエバちゃんなの、笑っちゃうでしょ。
今は?
今も片乳。 だって、片乳で定着したから今更変えられないでしょ。 お店を変えたら別だけど今のところその予定ないし。 ママもとってもよくしてくれるのね、だから今も片乳のエバなの。 エバ困っちゃう~。 てなもんよ。
オネェに目覚めたのが中学生の時。 だからオネェ歴十年。 初恋は、クラスメートの川田くんが格好いいと思ったのね、その時思ったわよ、僕ってもしかして○○○?
高校は当然男子高校。この世界のオネェは男子高校が多いのよ。 まっ当然よネ。 卒業後は順調に夜の世界まっしぐら。 今はオネェの髭っていう店で世話になってるの。 でもあたいはただのその辺にいるオカマやオネェじゃないの。
どの辺にいるのかって?
……… 面白いこというのね! フフ、おめぇ! 聞き方に気をつけろ! なめんなよおら! あら……? ごめんなさいお客が来ちゃったみたい…… じゃっ、失礼しますあとで、顔かせよてめえ……!
「いらっしゃいませ~健太さんお久しぶり~。 元気してた~?」
「おう、片乳のエバちゃん元気だったかい」
「エバ、ぜんぜん元気……」
エバは、おしぼりを健太に渡した。
健太はエバの顔をジッと見て云った「 エバ、髭の剃り忘れ一本あるぞ」
「えっ! うっそ~。恥ずかしぃ~。美奈ちゃん鏡持ってる?」
同僚の美奈が「あるわよ」。
「チョット貸せや!」エバは急に男に戻る癖があった。
「どらっ!」エバは鏡を見た。
「やだ~本当だ……恥ずかし~」
「相変らずエバはにぎやかだなあ」
ボックスは笑いに包まれていた。
ある時、店に顔色の悪い中年の紳士がひとりで入ってきた。
「いらっしゃいませ~」
「ここに、片側のエバさんっていますか?」
「ハイ、おります。 少々お待ち下さい」
「片側のエバちゃんお客様で~す」
「な~に? その片側って……いい加減にしろよな」
店は盛り上がった。
「ハ~イ、エバで~す」
「あ、あの~僕」
エバはその男性の顔を視た瞬間「あっ! こちらにどうぞ」
「美奈ちゃんお願いしま~す」
客は店の奥に通された。 そこは畳二帖ほどの個室になっていて、小さめのテーブルと椅子が向かい合わせにあった。 そこは、店の雰囲気とまったく違う空間。 二人は向かい合わせに座った。
「いらっしゃい、エバと申します。 今日は寒いですね」
「あっ、ハイ、あのう~ 俺……」
「あっ、解りますからそれ以上は結構ですよ」
「なんだ? まだなんもいってねえけど……」
「お客さんのガイドさんから全部聞きましたから」
「ガイド……?」
「お客さんを守護している存在です。 私に、お客さんがここに来た理由を教えてくれましたから」
「なんで? 話せば長いのに……」
「時間は関係ありませんし、ガイドさんの方が正確に伝えてくれますから」
「続けますね。 ガイドさん曰く、お客さんは考え方がいつも否定的だから物事がその否定した方向に引きつけられていくんですって。 せっかくいいチャンスが来ても、否定する自分がそのチャンスをことごとく駄目にしたっていってます。 心当たりあります?」
男はしんみょうな顔になり、急に涙を流し始めた。
エバが続けた「はい、もう心配入りません。 お客さんは気付きましたね」
「片側のエバさんありがとうございます。 納得いきました」
「そうですか、よかったですね。 それと私は片側でなく片乳のエバですから。 か、た、ち、ち、ですから…… 以後お見知りおきを・」
「エバさんごめんな、こげな店初めてだから緊張しちまって」
「どうです? 私が席に着くので遊んでいきませんか? せっかくいらしたんですから」
「そうすっかな? 焼酎あるが?」
「ありますとも。 どうぞお店のほうに」
部屋から二人は出てきた。
「ママ、お客様を席にお通しして下さ~い」
出て来たお客を視て他の客が驚いた。 さっき店の奥に通って行った疲れ切った様子の客が別人のようだったから。 店の関係者はいつもの光景なので微笑んでいるだけ。 エバはその客を席に案内した。
「ママ、焼酎ボトルでお願いします」ボトルがセットされ二人はグラスを持った。
「改めまして片側のエバで~す。 乾杯!」
そう、エバはホステスともうひとつの顔があった。 チャネラーとしての顔だった。 本人はチャネラーという言葉が嫌いなのでガイドの通訳と表現した。
相談者の背後にいるガイドと会話が出来るので、そのガイドからの言葉を相談者にわかりやすく伝えるというチャネラーの一面を合わせ持っていた。
店には相談目当てにくる客も多く、その場合の通訳料は三千円で店のチャージとは別に上乗せしていた。 その事によって店の常連さんも増え、店もエバに通訳専用の個室を用意するまでになっていた。
先ほどの中年男性が「今日は、うめぇ酒だったな~や。 こんな旨い酒久しぶりだ。 エバさんありがどな」
「いいえ、どういたしまして。 喜んでいただいてよかってです」
「うん、んだどもどうしで片乳なんだ?」
「いいの、今度きた時教えてあ、げ、る」
「そっか。また来いっでが。 おめっ、商売うめえな! がははは」
エバが真顔で「お客さん自分を変えようと思ったら二ヶ月間続けてね。 そしたら考え方も身体の細胞も生まれ変わるから。 必ず二ヶ月は間続けてね、自分のために家族のために」
街は一面冬景色と変わっていた。 今日もひとり頭に雪を頭に乗せたままで店のドアを開けた。
「いらっしゃいませ~~」
常連客の歯科医師マミコだった。
ママが「いらっしゃいマミコ先生」
「今晩は、エバちゃんいる?」
「今、便所よ。 くっさ~い匂い付けて戻ってくるわよ」
「マミコ先生いらっしゃいませ~」エバが手を拭きながら戻ってきた。
「今日はエバちゃんに話しがあって来たの」
「……じゃあ、奥へどうぞ」
二人は席に座った。
「マミコ先生どうしました?」
「実は私の甥なんだけど、この前木登りして遊んでいて落ちたらしいの。 その時は軽い打撲だったらしいのね。 でもその二日後から左手が動かなくなったみたいなの。 数件の病院に行ったけど外科的に異常はないって言われたらしいの。 どう思う?」
「その甥の顔を頭に思い描いてくれる?」
マミコは目を閉じた。 沈黙が続いた。
「はい、原因は腰から三番目の脊椎の歪みみたい。 整骨院に行って歪みを矯正して下さい」
「腰は打ってないみたいだけど、明日妹に報告してみるね。 ありがとうエバちゃん」
「は~ぃ」
かるい世間話を交わし二人はカウンターに戻った。
「エバちゃん、なんで腰だって思ったの?」
「思ったっていうか感じたのよねぇ。 そしたら、背骨が見えて下から三番目が赤く歪んでたの……それだけ。 私の場合理屈は解らないの、ただそう感じただけ毎度のことだけど」
「面白い能力だよね。 何でもみえちゃうの?」
「どっかにスイッチがあるの、だからスイッチをONにしないと何にも視えない。 解らないこともいっぱいあるわよ」
「じゃあ、テレビに出てる霊能者と呼ばれる人は、みんなスイッチを持ってるの?」
「たぶん、ほかの人はわからないけど」
「でも、ネットで見たけど、スイッチが入ったままの人もいたわ。 その人は言ってることが、あちらの世界から話してるみたいだった。 たぶん悟りを開いた人ね、私達と言葉のでどこが違うわよ」
「エバちゃん、そんなことまでわかるの?」
「わかるというか、感じるのよね」
「じゃあ。どこで感じるの?」
「片チチで……。 やだ~なにいわせるの~」
数日後マミコ先生から店に電話があった。
「ママ、私マミコ。 エバちゃんに変わってくれますか」
「はい、エバで~す」
「この前話してた甥なんだけど、整骨院に行ったらやっぱり脊椎が歪んでたらしいの、だから矯正してもらったらなんとその日から手が普通に動く様になったの。 エバちゃんありがとうね。 近々お店に行くから」
「良かったわね~。 報告ありがとう。 お礼はいいから今度店に来る時、いい男連れてきてちょうだいお願いね!」
「は~い! わかった。 またね」
「マミコ先生なんだって?」
「甥っこさん、整骨院で矯正したら手がよくなったって」
「良かったわね」
「あら、誰か来た! いらっしゃいませ。 三上さんお久しぶり~」
「ママ、元気だったかい?」
「ハイ、元気です。 元気過ぎて髭もどんどん生えてきてます~」
「片チチにはなしあるんだけど」
「いやだ~三上さん。 私はエバです。 ちゃんと覚えておけよてめぇ!」
「はは、相変らず絶好調だなエバは?」
ボトルをカウンターに出しながら「おめえもな」
「ガ、ハハハ~」
三人で乾杯し、飲んでいると急に三上が神妙な顔付になった。
「俺、会社閉じようと思ってんだ」
ママが心配そうに「どうしたの? 長年頑張ってやってきたじゃない」
「最近仕事がめっきり暇になったんだ。 特に冬場はな」
三上の会社は造園屋。
「エバどう思う?」
「待ってね、スイッチ入れるから……」
「三上さんのガイドと通訳するよ」
「おう」
「三上さんが数年前から冬場の仕事に対しての意識が変わったって。 以前は造園の仕事に夏冬関係なく取り組んできたが、近年は自分から冬場は仕事が来ないって決めつけてるっていうのね。 だから、仕事が来なくなったんだっていってるよ」
三上が「エバちゃん、今の少しかいつまんで説明してくれるかなぁ」
「冬場仕事がなくなったんじゃあなく。 三上さんが意識的に冬場の仕事を来なくしてるっていうことみたい」
「その辺が、わかんねえけど……?」
「自分の思いが形になるのよ。 三上さんは冬場仕事がないと思い込んでるから、本当に仕事が来ないの。 思う通りになってるじゃない」
あたいエバ、この世界では片乳(カタチチ)のエバちゃんで有名なの。 なんで片乳かって? あたいが夜の商売で働きかけの頃、大きな胸に憧れてたのね、それで思い切って豊胸の手術することにしたのよ。 でも、胸を工事する予算が足らなかったのね、だから医者に頼んでとりあえず片側の胸だけ手術したの。 あたいおバカでしょ! でもそれぐらい豊胸にあこがれていたのよね、当然、もう片方もすぐに豊胸する予定だったのよ。
今考えると馬鹿よねぇ笑っちゃうわよね。でもその時は真剣だったのよ。
すぐに胸を膨らませたかったの、で、とりあえず予算の都合で片乳だけ。 そしたら、片乳のエバっていうあだ名がついちゃったのね。 それ以降ずっと片乳のエバちゃんなの、笑っちゃうでしょ。
今は?
今も片乳。 だって、片乳で定着したから今更変えられないでしょ。 お店を変えたら別だけど今のところその予定ないし。 ママもとってもよくしてくれるのね、だから今も片乳のエバなの。 エバ困っちゃう~。 てなもんよ。
オネェに目覚めたのが中学生の時。 だからオネェ歴十年。 初恋は、クラスメートの川田くんが格好いいと思ったのね、その時思ったわよ、僕ってもしかして○○○?
高校は当然男子高校。この世界のオネェは男子高校が多いのよ。 まっ当然よネ。 卒業後は順調に夜の世界まっしぐら。 今はオネェの髭っていう店で世話になってるの。 でもあたいはただのその辺にいるオカマやオネェじゃないの。
どの辺にいるのかって?
……… 面白いこというのね! フフ、おめぇ! 聞き方に気をつけろ! なめんなよおら! あら……? ごめんなさいお客が来ちゃったみたい…… じゃっ、失礼しますあとで、顔かせよてめえ……!
「いらっしゃいませ~健太さんお久しぶり~。 元気してた~?」
「おう、片乳のエバちゃん元気だったかい」
「エバ、ぜんぜん元気……」
エバは、おしぼりを健太に渡した。
健太はエバの顔をジッと見て云った「 エバ、髭の剃り忘れ一本あるぞ」
「えっ! うっそ~。恥ずかしぃ~。美奈ちゃん鏡持ってる?」
同僚の美奈が「あるわよ」。
「チョット貸せや!」エバは急に男に戻る癖があった。
「どらっ!」エバは鏡を見た。
「やだ~本当だ……恥ずかし~」
「相変らずエバはにぎやかだなあ」
ボックスは笑いに包まれていた。
ある時、店に顔色の悪い中年の紳士がひとりで入ってきた。
「いらっしゃいませ~」
「ここに、片側のエバさんっていますか?」
「ハイ、おります。 少々お待ち下さい」
「片側のエバちゃんお客様で~す」
「な~に? その片側って……いい加減にしろよな」
店は盛り上がった。
「ハ~イ、エバで~す」
「あ、あの~僕」
エバはその男性の顔を視た瞬間「あっ! こちらにどうぞ」
「美奈ちゃんお願いしま~す」
客は店の奥に通された。 そこは畳二帖ほどの個室になっていて、小さめのテーブルと椅子が向かい合わせにあった。 そこは、店の雰囲気とまったく違う空間。 二人は向かい合わせに座った。
「いらっしゃい、エバと申します。 今日は寒いですね」
「あっ、ハイ、あのう~ 俺……」
「あっ、解りますからそれ以上は結構ですよ」
「なんだ? まだなんもいってねえけど……」
「お客さんのガイドさんから全部聞きましたから」
「ガイド……?」
「お客さんを守護している存在です。 私に、お客さんがここに来た理由を教えてくれましたから」
「なんで? 話せば長いのに……」
「時間は関係ありませんし、ガイドさんの方が正確に伝えてくれますから」
「続けますね。 ガイドさん曰く、お客さんは考え方がいつも否定的だから物事がその否定した方向に引きつけられていくんですって。 せっかくいいチャンスが来ても、否定する自分がそのチャンスをことごとく駄目にしたっていってます。 心当たりあります?」
男はしんみょうな顔になり、急に涙を流し始めた。
エバが続けた「はい、もう心配入りません。 お客さんは気付きましたね」
「片側のエバさんありがとうございます。 納得いきました」
「そうですか、よかったですね。 それと私は片側でなく片乳のエバですから。 か、た、ち、ち、ですから…… 以後お見知りおきを・」
「エバさんごめんな、こげな店初めてだから緊張しちまって」
「どうです? 私が席に着くので遊んでいきませんか? せっかくいらしたんですから」
「そうすっかな? 焼酎あるが?」
「ありますとも。 どうぞお店のほうに」
部屋から二人は出てきた。
「ママ、お客様を席にお通しして下さ~い」
出て来たお客を視て他の客が驚いた。 さっき店の奥に通って行った疲れ切った様子の客が別人のようだったから。 店の関係者はいつもの光景なので微笑んでいるだけ。 エバはその客を席に案内した。
「ママ、焼酎ボトルでお願いします」ボトルがセットされ二人はグラスを持った。
「改めまして片側のエバで~す。 乾杯!」
そう、エバはホステスともうひとつの顔があった。 チャネラーとしての顔だった。 本人はチャネラーという言葉が嫌いなのでガイドの通訳と表現した。
相談者の背後にいるガイドと会話が出来るので、そのガイドからの言葉を相談者にわかりやすく伝えるというチャネラーの一面を合わせ持っていた。
店には相談目当てにくる客も多く、その場合の通訳料は三千円で店のチャージとは別に上乗せしていた。 その事によって店の常連さんも増え、店もエバに通訳専用の個室を用意するまでになっていた。
先ほどの中年男性が「今日は、うめぇ酒だったな~や。 こんな旨い酒久しぶりだ。 エバさんありがどな」
「いいえ、どういたしまして。 喜んでいただいてよかってです」
「うん、んだどもどうしで片乳なんだ?」
「いいの、今度きた時教えてあ、げ、る」
「そっか。また来いっでが。 おめっ、商売うめえな! がははは」
エバが真顔で「お客さん自分を変えようと思ったら二ヶ月間続けてね。 そしたら考え方も身体の細胞も生まれ変わるから。 必ず二ヶ月は間続けてね、自分のために家族のために」
街は一面冬景色と変わっていた。 今日もひとり頭に雪を頭に乗せたままで店のドアを開けた。
「いらっしゃいませ~~」
常連客の歯科医師マミコだった。
ママが「いらっしゃいマミコ先生」
「今晩は、エバちゃんいる?」
「今、便所よ。 くっさ~い匂い付けて戻ってくるわよ」
「マミコ先生いらっしゃいませ~」エバが手を拭きながら戻ってきた。
「今日はエバちゃんに話しがあって来たの」
「……じゃあ、奥へどうぞ」
二人は席に座った。
「マミコ先生どうしました?」
「実は私の甥なんだけど、この前木登りして遊んでいて落ちたらしいの。 その時は軽い打撲だったらしいのね。 でもその二日後から左手が動かなくなったみたいなの。 数件の病院に行ったけど外科的に異常はないって言われたらしいの。 どう思う?」
「その甥の顔を頭に思い描いてくれる?」
マミコは目を閉じた。 沈黙が続いた。
「はい、原因は腰から三番目の脊椎の歪みみたい。 整骨院に行って歪みを矯正して下さい」
「腰は打ってないみたいだけど、明日妹に報告してみるね。 ありがとうエバちゃん」
「は~ぃ」
かるい世間話を交わし二人はカウンターに戻った。
「エバちゃん、なんで腰だって思ったの?」
「思ったっていうか感じたのよねぇ。 そしたら、背骨が見えて下から三番目が赤く歪んでたの……それだけ。 私の場合理屈は解らないの、ただそう感じただけ毎度のことだけど」
「面白い能力だよね。 何でもみえちゃうの?」
「どっかにスイッチがあるの、だからスイッチをONにしないと何にも視えない。 解らないこともいっぱいあるわよ」
「じゃあ、テレビに出てる霊能者と呼ばれる人は、みんなスイッチを持ってるの?」
「たぶん、ほかの人はわからないけど」
「でも、ネットで見たけど、スイッチが入ったままの人もいたわ。 その人は言ってることが、あちらの世界から話してるみたいだった。 たぶん悟りを開いた人ね、私達と言葉のでどこが違うわよ」
「エバちゃん、そんなことまでわかるの?」
「わかるというか、感じるのよね」
「じゃあ。どこで感じるの?」
「片チチで……。 やだ~なにいわせるの~」
数日後マミコ先生から店に電話があった。
「ママ、私マミコ。 エバちゃんに変わってくれますか」
「はい、エバで~す」
「この前話してた甥なんだけど、整骨院に行ったらやっぱり脊椎が歪んでたらしいの、だから矯正してもらったらなんとその日から手が普通に動く様になったの。 エバちゃんありがとうね。 近々お店に行くから」
「良かったわね~。 報告ありがとう。 お礼はいいから今度店に来る時、いい男連れてきてちょうだいお願いね!」
「は~い! わかった。 またね」
「マミコ先生なんだって?」
「甥っこさん、整骨院で矯正したら手がよくなったって」
「良かったわね」
「あら、誰か来た! いらっしゃいませ。 三上さんお久しぶり~」
「ママ、元気だったかい?」
「ハイ、元気です。 元気過ぎて髭もどんどん生えてきてます~」
「片チチにはなしあるんだけど」
「いやだ~三上さん。 私はエバです。 ちゃんと覚えておけよてめぇ!」
「はは、相変らず絶好調だなエバは?」
ボトルをカウンターに出しながら「おめえもな」
「ガ、ハハハ~」
三人で乾杯し、飲んでいると急に三上が神妙な顔付になった。
「俺、会社閉じようと思ってんだ」
ママが心配そうに「どうしたの? 長年頑張ってやってきたじゃない」
「最近仕事がめっきり暇になったんだ。 特に冬場はな」
三上の会社は造園屋。
「エバどう思う?」
「待ってね、スイッチ入れるから……」
「三上さんのガイドと通訳するよ」
「おう」
「三上さんが数年前から冬場の仕事に対しての意識が変わったって。 以前は造園の仕事に夏冬関係なく取り組んできたが、近年は自分から冬場は仕事が来ないって決めつけてるっていうのね。 だから、仕事が来なくなったんだっていってるよ」
三上が「エバちゃん、今の少しかいつまんで説明してくれるかなぁ」
「冬場仕事がなくなったんじゃあなく。 三上さんが意識的に冬場の仕事を来なくしてるっていうことみたい」
「その辺が、わかんねえけど……?」
「自分の思いが形になるのよ。 三上さんは冬場仕事がないと思い込んでるから、本当に仕事が来ないの。 思う通りになってるじゃない」



