「好きなんだ、片桐さんのこと。」
…………え?
一瞬、時間が止まった気がした。
柳くんが発した言葉の意味が、すぐに理解できなかった。
思考停止して、瞬きも忘れてしまうくらい、今自分に、何が起きているのか全くわからない。
顔を赤らめている柳くんを見て、今の言葉は聞き間違えではなかったということを確信させられる。
でも……なんで!?
「え、え!?」
混乱した私は、どう反応していいのか、なんと言葉を返せばいいのかわからないでいた。
すると、柳くんは顔を赤らめながら、ゆっくりと口を開いた。
「……前から、体育の時に見て気になってたんだ。
でも、声をかけるタイミングも理由もなかったから、ずっと見てることしかできなかった。
体育以外の時でも、廊下とかで片桐さんを見つけると目で追うようになってて……。
だから、この前パンケーキ屋で会った時は、本当に奇跡だと思った。
片桐さんと話すきっかけができた気がして、嬉しかったんだ。
それから、片桐さんに話しかけることができるようになって嬉しかったけど、
やっぱり、もっと片桐さんのこと知りたいって思ったし、
もっと近づけたらなって思った。
片桐さんが俺の隣にいてくれたら、どんなに幸せだろうとも思った。
……本気なんだ、俺。
俺と……付き合ってほしい。
返事は今じゃなくてもいいから。
考えて……くれないかな。」
柳くんの真剣な眼差しに、私は全身が固まる。
ありえない、ありえないありえないありえない!
柳くんが、私を!?
全然、気づかなかった……。
誰かが自分のことを好きだなんて、そんなの、考えたこともなかった。