屋上に行くと、菜穂がいた。
菜穂は少し驚いた顔をすると、ニコッと笑い
「こっちに来なよ。」
と言った。
やっぱり安心するな。一生屋上にいれたらいいのに…。
「また会っちゃったね。」
という菜穂。
やばい可愛すぎる…。心臓の音やばい…。菜穂のやつ、僕を殺すつもりなのか??
そんなこと言いたいけど、言えるわけもなくうつむくと、
「ど、どうしたの!?大丈夫??」
大丈夫なわけないだろ…。
でも、この気持ちが何かとまでは分からない。菜穂のことは大切だけど、この関係を壊したくない。あの時みたいに…。
「大丈夫…。」
顔を見られないか心配すぎる。たぶん、真っ赤になってるだろうな…。
「そっかぁ!良かった。」
と言って、ニコリとはにかむ菜穂。その笑顔は反則…。
「うん。ありがとう。」
今の僕にはこれしか言えない…。ほんとは、菜穂と僕の関係を聞きたい。でも、恥ずかしくてそんなことが言えない。こんな自分にがっかりする。
「いいえ!どういたしまして。」
なにげに嬉しそうな表情をする菜穂。はぁ、菜穂はお気楽だな…。
その表情を見て、聞きたくなった。ここで言わないと後悔する…なぜかそう思った。
「あ、あのさ!菜穂と僕の関係って何??」
そう言って顔をあげると、菜穂はキョトンとした表情をして、
「友達に決まってるじゃん!私は裕太が大好きだよ!」
大好きだよ…。その言葉が嬉しかった。でも、嬉しいはずなのに、心が少しモヤモヤする。なんなんだろう。
「ありがとう。友達で嬉しいよ。」
その言葉を言った瞬間、またモヤモヤした。
「うちもに決まってるじゃん!」
モヤモヤしたはずなのに、菜穂の笑顔を見ると、心が晴れる。なんか、菜穂は僕にとって薬だな。
「ありがとう。」
「フフ…。ありがとう2回言っちゃってるよ??」
そう言ってクスクス笑う菜穂。
菜穂と会って、数時間しか経っていないけど、僕にとって菜穂は大切な存在になっていた。この時間がかけがえのないものだった。
「ねぇ、裕太は自分のことを僕って言うの?」
「お、おかしい??」
「お、おかしくはないけど、俺って言うのを聞きたくて…。ダメ??」
ダメ?って上目遣いで言われると、心臓やばい…。
「いいよ…。俺は菜穂が大切だよ。」
そう言って菜穂を見ると、菜穂のほほが少し赤くなっているような気がした。
気のせいか…。
「あ、ありがとう。嬉しいよ。」
やばい。今度から俺にしよう。
って単純すぎるだろ!俺!
そんなことを話していると、すっかり日が落ちていた。
「じゃあ、また」
「バイバイ!裕太。」
また、明日会えるよな??
そんなことを思いながら、家に帰った。