教室に戻ると少し不安になる。
やっぱり、居心地悪いな。
そう思っていると、バンッ!!と音がした。
おそるおそる顔をあげると、陽人がニヤニヤしながら
「おい。トイレまでつきあえよ。」
と言った。
こわい…。やっぱり、僕にはダメなんだ。
そんなネガティブな言葉が頭に思い浮かぶ。せっかく、心がスッキリしたのに、また心が曇りはじめる。
そんな僕を、知らないふりをするクラスメイトが憎い。そして、友達に裏切られたことが憎い。勇気をださなきゃいけないのに足がすくむ。せっかく菜穂に勇気をもらったのに、また逃げようとする自分が1番憎い。
「おいっ!話聞いてんのか。はやくこいよ!うぜーんだよ!」
そう言われた瞬間、僕のほほに痛みが走った。
恥ずかしい…。苦しい…。助けて…。
こんなことを思っても、何も始まらない。誰も助けてくれない。
とその時、先生が入ってきた。
先生なら助けてくれるはず…。
でも、そんなことを思った僕がバカだった。
先生は、僕を見ると困った顔をしてうつむき、
「授業を始めます…。」
と、言った。
もう、絶望しか感じない。いじめはダメだと言っておきながら、実際にいじめが発生すると、見て見ぬふりをする。それが先生という存在だと思った。誰も僕を助けてくれない。この世界は孤独だ。そして、
「先生、お腹が痛いので、保健室に行ってきます。」
そう言って、僕はいじめから逃げた。