薄い青の空 かわいた空気
温かい家の匂いが路地裏に漂う 真っ白な木々に反射する太陽の光
「最近、急に寒くなったねぇ。」
言いながら手に息を吹きかける君。
「ほら、こっちおいでよ。」
君は自分の膝を叩く。そこへ行って座ると白いマフラーを分けてくれた。
「2人でいるとあったかいなぁ」
そう言った君の笑顔をずっと見ていたかったのに

ある日を境にあの子はここへ来る回数が減っていった。
近頃見かけない。こんなに君がおっきくなったんだ...。

あの子がやってくる足音がきこえる。それと足音がもう1つ。思わず僕は祠に隠れた。
君は見知らぬ誰かと手を繋いできた。
僕の知らない笑い声がする。幸せそうに笑う君。少しだけ会話が聞こえる。
「私、児童養護施設出ようと思うんだ」
「どうして?あそこの『おかえり』が大好きだと言ってたじゃないか」
「でも、私は星を研究したい。あそこにいたままだとみんなに迷惑かけちゃうでしょ」
今日の星は遠い。僕がどれだけ手を伸ばしても届かない、ずっと遠くへ。
君と話すこと。君の肩を寄せること。夜の冷えた頬を包み込むこと。もし僕にできたなら、そこに、君のそばにいれたかな?今よりもっともっと仲良しで、2人でずっといれたよね。