黒い空 何かがたくさん光ってる 木の匂いが森に広がる
青い葉っぱの間にかぶとむしが飛ぶ
あの空に光るのはなんだろう?
「あれはさそり座。目印はあの、赤い星。アンタレスって言うんだ。さそり座は夏の星座でね。英雄オリオンの傲慢を怒った女神ヘラがサソリを地上に送ってその毒針でオリオンを殺したの。その功績を讃えられてサソリは天に昇って星座になったんだ。
あ、星座っていうのは空に光る星を見かけの位置をその特徴から連想した名前で呼んだものなんだ。
・・・なんて、君に言ってもわかんないか」
そう言うと黙って空を見上げる女の子。どうして僕の思ったことがわかるんだろう。僕が知らないこと、知りたかったことを僕が何も言わないのに教えてくれるなんて。不思議な子。

あの日からあの子は3日に1回はここへ星を見に来る。2日続けて来ることもあった。僕も一緒になって星を見る。あの子はここへ来る度に僕に星座の話をしてくれる。あの子は僕に星座の話をし終えるといつも1人で山の上にある祠にもたれかかって星を見る。星座をつなげて空を見てる。そんな日が続いて日に日に僕達は仲良くなっていった。