両想いになったあの日から。


「なーに笑ってんの?」


「な、なんでもない」


ニヤニヤしながらこっちを見てるユウトに照れながら
ゆっくり視線をそらして壁に飾ってある絵を眺めた。


コーヒーの香りが店内を包んでは話し声に包まれ
相変わらずの忙しさだけどこの場所は大好き。

ユウトが初めて連れてきてくれた場所だし
ユウトと2人でゆっくりお話ができる場所でもあるからね…♪


「お待たせしました~」


そういってハヤトくんがコーヒーとカフェモカを持ってきてくれた。
忙しいからすぐに仕事に戻ったハヤトくんだけど
私たちの好みに合わせて少し手を加えてくれている。


「ミナ、ひとくちちょーだい」


そう言ってユウトは私のカフェモカを一口飲んだ。


「…甘い」


そう一言。
いつもと同じように、いつもと同じトーンで。


「…じゃあ飲まなきゃいいじゃん?」


「んー、ひとくちは欲しいから」


ユウトはいつもそう言って普段見ない絵とか見ちゃってるんだよね。

何かを隠すときのクセが出ちゃってること
たぶんユウトは気付いてないから
私もいつもと同じようにユウトの手元から視線を外せずにいる。


店内に流れている音楽が
会話のない私たちをそっと包んでくれる。

女子高生が何かで盛り上がっている声や

食器と食器がたまに触れ合う音が

不思議だけど、安心感をくれる。