「えっ…てっきり隠れて付き合ってるのかなって思ってた」
ナナがそんなことを思っていたなんて私は全然知りませんでした。
「浅川からは全然普通なんだけど、ミナが分かりやすすぎて」
続けてそう言ったナナにびっくりしつつ、自分の分かりやすさを反省した。
「確かに。ミナ分かりやすいよな」
鼻で笑うユウトに思わず言い返そうとしたとき
ユウトがこっちを向いて笑った。
「でも、俺はそういうミナが好きなんだ」
言い返そうした私の目とユウトの優しい目が合って顔が熱くなるのがわかった。
「付き合ってないのは俺のせいなんだけどな…」
そういって目を閉じて下を向いたユウト。
私もナナもただ黙ってユウトを見ることしかできない。
「でも好きだから大切にしたいし守りたいし、嫌われたくない」
そこまで言って顔をあげたユウトはナナの目を見てはっきり言った。
「その人は瀬川に嫌われたくないからずっと待ってる。弟が心配して話をしに来るぐらいその人は瀬川を想ってるんだろ?瀬川もその人が好きなら押したり引いたりしないで素直になれば?」
ストレートに、ぶっきらぼうに、でもユウトなりの優しさがあふれる言葉をナナは真剣に聞いていた。
