⑭ (叶美サイド)
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「え、ちょっと一真?!離してよ!!」



私はいきなり一真に抱き締められ、慌てていた。



「ちょっと一真?!」



そう私が言うと、一真は私の耳元で言った。



「オレ、何でかお前をすっげぇ守りたいって、愛しいって思ってる。ずっとオレ、自分の気持ち気付かなかったみたいだけど、お前が好きだ。だから離したくねぇ…」



一真はそう言って私の肩に顔をうずめた。
かすかに首筋にかかる一真の息と、かすかに香る一真の香水が私の意識をとうのかせるようだった。



「ごめんな。追い討ちかけるみたいで」



その言葉に私はハッとして、気付けば一真を突き飛ばしていた。
一真は大きな目をもっと大きくして私を見ている。



「…また明日!!」



そう言って私は走って家に飛び込んだ。



…その日、一睡もできなかったのは言うまでもない。