⑫ (叶美サイド)
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一真に引っ張られてついたのは近くの河原にある大きな木の下。



「ここに来たら思い出すだろ?」



私は周りを見渡すけど、全く身に覚えがない。

小さく横に首を振ると、



「しょうがねーな。教えてやるよ」



一真はそういうと、木の根元を掘り始めた。
私はその姿をじっと見守った。

しばらくすると、「あった」と一真が叫び、何かを地面から掘り出した。


出て来たのは見覚えのある古びた缶箱だった。