「たしか、テレビでは生活がどんどん西洋風になっていったって言ってた」

健一が思い出しながら言う。

「文明開化だな。馬車や人力車が走ったり、洋服を着る人も出てきたんだ。郵便や電信の制度も整ったんだぞ」

俺は学校で習ったことを思い出しながら、二人に説明をする。二人も凪沙たちと同じく、真面目に聞いてくれるので話していて楽しい。

家族は歴史好きが多いため、解説をする必要があまりない。だから、こんな時間は貴重だ。

「政府は1871年、不平等条約を改正するために、岩倉具視を中心とした岩倉使節団を欧米に送ったんだ。条約は改正されなかったが、使節団は文化などを学んで帰国。そして、政府内では征韓論に反対する西郷隆盛たちと、欧米から帰国した大久保利通たちとの主張が対立し、西郷隆盛や板垣退助たちは政府を去ったんだ」

俺がそう言うと、海斗が「あっ!」と叫ぶ。

「その後に起こったこと知ってるよ!テレビで見た!西南戦争でしょ!」

そう、正解だ。

1877年、政府の改革に不満を持つ士族たちが西郷隆盛を中心に起こした争い。政府の軍隊が制圧し、政府批判は言論が中心となった。

そして、国民が政治参加する権利の確立を目指す自由民権運動が起こり、様々な政党が誕生した。

「明治時代に国会は誕生したんだけど、その開設に備えて伊藤博文が中心となって憲法を作成したんだ。伊藤博文は、君主の権力が強いプロイセン…今のドイツの基盤となった国の憲法をもとに大日本帝国憲法を作ったんだ」