『ねえ、早く行こうよ、お腹空いたよ』

『あっ、うん、そうだな』

奏と食事しながら、僕は不安を拭いきれずにいた。

クリスマスイブのデートが、台無しだ。

でも、大丈夫だ、奏はしっかりしてるし、 あんな男に引っかかる訳ない。

『ねえ、隼人。隼人のこと好きだって言ってる女の子がいるんだけど…今度会ってみない?』

そう奏が言ったけど、唐突過ぎて、頭に入って来なかった。

『え?』

『私と同じ部署の2つ年下の遼子ちゃん。すごく可愛いし、会ってみたら?』

ニヤニヤして、薦めてくる。

『ま、今はいいや。ちょっと仕事が大変でさ。それどころじゃないって言うか…』

嘘だ…

『隼人は、まあまあカッコイイんだから、もっと女の子と遊べばいいのに』

『まあまあって、余計じゃない?』

確かに、僕は、周りからも「中の上」 って言われるけど。

奏にとっても、僕は、ただの「中の上」 でしかないのか…?