『お待たせ。隼人、早かったんだね』

長い仕事を終え、奏は、僕との待ち合わせの場所に走って来た。

『待ってないよ、そんな』

本当は少し待った。

奏の部署は、最近忙しいらしいから仕方ない。

『ごめんね、今担当してる山内先生、新作、なかなか書いてもらえなくて』

最近売れっ子の作家先生。

奏が担当になって、しょっちゅう先生のところに出向いてる。

良くない噂があるやつだ。

正直、僕は心配で仕方なかった。