『今日ね、会社終わったらご飯行こうよ』

奏が、にっこり笑って言った。

今日は、クリスマスイブ。

付き合ってもいない僕らなのに...

『ああ、いいよ。イブだって言うのに、一緒にご飯に行く相手もいないなんて寂しいな』

『お互い様よ』

そう言って、奏がまた笑う。

その笑顔に、僕は、どうしようもなく、ドキドキするんだ。

そんなこと、知らないだろ...奏。

『じゃあ、終わったらね!バイバイ』

部署が違う僕らは、大きなビルの中にある、それぞれの部屋に向かった。

次に奏に会うまで、僕は無機質な時間と向き合う。

奏は仕事が楽しいようだ、なのに僕は...

仕事にやりがいを感じないのは、何故なんだろうか。